2014年12月 マレーシア・サバ州の旅 第2日
2014年12月21日(日)
あやうく「ツンドク(積ん読)」になりかけていた一冊の本を携え、今回の旅に出ました。
『サンダカン八番娼館』(山崎朋子著)は、明治から大正にかけて海外に売られ、日本人はもとより、欧米人、華人、現地人を相手に娼婦をした「からゆきさん」を研究した本です。
戦前、北ボルネオの中心地として栄えたサンダカンには、当地で亡くなった「からゆきさん」たちのお墓があります。
サンダカンの街は、港の背後に小高い丘がそびえており、かつて欧米の駐在員らが邸宅を構えていた高台に登って、その奥のジャングルさながらの森を道なりにたどった先に、華人の立派な墓地があり、さらにその先にひっそりと、しかし綺麗に手入れされた「日本人墓地」がありました。
上記の本には、「からゆきさん」の墓地は、サンダカンの街を見下ろす丘の一番高いところにあるとあったので、つい上方に広がる広東人の墓地が目に入り、雨露に濡れた草の茂みをかき分けて、蚊に刺されながら頂上まで登り詰めたのですが見つからず、墓造りに従事している若者たちに聞いて、やっと発見できました。
日本にアジアの女性たちが来て、本国の貴重な外貨獲得になってきたように、富国路線を歩み始めたばかりだった頃の日本にとって、未発達の輸出産業に代わり外貨稼ぎの役割を果たしたのが、他ならぬ「からゆきさん」だったと、著者の山崎さんは言います。
そんな今では忘れられた歴史、でも確かに日本人がたどり、文字通り日本の礎となった歴史を、思い起こす旅になっています。